ご存知のように、京都には神社がたくさんあり、鳥居もたくさんあります。
この記事では、京都に数え切れないほどたくさんある鳥居の中から、京都三珍鳥居に数えられている「三柱鳥居・伴氏鳥居・唐破風鳥居」の3基とその他の珍しい鳥居4種類をご紹介いたします!
神社巡りの参考になれば幸いです。
記事を読む前に、鳥居の各部位について軽く知っておくと、より一層理解出来ると思います!
蚕ノ社:三柱鳥居
まずは、蚕ノ社(かいこのやしろ)の「三柱(みはしら)鳥居」から!
正式名称は木嶋坐天照御魂神社。通称「木島神社」「蚕ノ社」。
御祭神は天之御中主神など5柱を祀り、本殿の隣にある境内摂社の「養蚕神社」は、繊維業関係者などからの信仰を集めています。
創建の詳しい由緒は不明ですが、大宝元年(701)の続日本紀に「木嶋神」の名があり、それより以前から祭祀されていたことが認められています。
蚕ノ社にある三柱鳥居は、京都三珍鳥居の中で最も「珍」な鳥居。
いや、全国的に見ても非常に珍しい鳥居なんです。
三柱鳥居はこの黒木鳥居の先に…。
ありました。三柱鳥居。
3基の明神鳥居が正三角形に組み合わされており、柱は3本とも八角形となっています。
説明書きなどには「全国唯一」と書いてあります。
三柱鳥居中心の組石は宇宙の中心を表してるとされていますが、柱が3本の鳥居が造られた理由や意味についてはハッキリしていません。
鳥居の三方は、渡来人の豪族・秦氏ゆかりの3社(下鴨神社・伏見稲荷大社・松尾大社)を向いているともいわれています。
柱には以下の銘が刻まれています。
山城国葛野郡式内木嶋再興神主日向守神服宗夷
元糺大神降水本
天保二年辛卯十二月再興神主民部輔神服宗秀
刻まれた銘からわかるように、現在の鳥居は天保2年(1831)に建て替えられたもので、それ以前は木製だったとされています。
また、亨保年間(1716~1736)に修復されたという記録も残されています。
今は干上がっているため分かりませんが、三柱鳥居は「元糺の池」という池の中に建てられています。
江戸時代(1780)に刊行された「都名所図会」には、流れる水の上に建つ三柱鳥居が描かれています。
鳥居の形状や組石・幣帛などは今と変わっていないようです。
毎年、土用丑の日には、この元糺の池に地下水がはられ、御手洗祭が行われます。
池の水に手や足を浸すと、諸病に良いとされています。
ちなみに、地元の有志の方々によって「木嶋神社の湧き水を復活させる会」が結成されており、湧き水復活に向けて活動されているそうです。
蚕ノ社へのアクセス
住所:京都市右京区太秦森ケ東町50-1
- 京都市営バス「蚕ノ社」より徒歩約4分
(11,70系統) - 京都市営バス「安井西口」より徒歩約5分
(8,27,75,特93系統) - 京福嵐山本線「蚕ノ社駅」より徒歩約3分
- JR嵯峨野線「花園駅」より徒歩約10分
北野天満宮:伴氏社の伴氏鳥居
次は伴氏社(ともうじしゃ)の「伴氏(ともうじ)鳥居」!
伴氏社は北野天満宮の境内末社です。
祀られている神様は、菅原道真公の母親である「伴氏」。
「子供の成長と学業成就を守護」というご利益があるといいます。
昔は五輪塔が置かれていたが、明治初期の神仏分離により、北野天満宮の南隣にある東向観音寺に移されました。
そんな伴氏社の鳥居は、なんと国の重要美術品に指定されているんです!
しかも、この鳥居が建てられた時代は…なんと…なんと…
鎌倉時代!
鎌倉時代が終わったのは1333年なので、建てられたのは大体700年前くらいでしょうか。
恐るべき耐久性ですね。
ただ、流石に老朽化してきたのか、ヒビが修復された跡や金属の補強材のような物が取り付けられていました。
この鳥居の注目すべき場所は台石部分。
よく見ると、蓮の花弁が刻まれています。
参道脇にこじんまりと鎮座する伴氏社。
スルーされがちですが、歴史ある貴重で芸術的な鳥居を見ることが出来ます。
伴氏社へのアクセス
住所:京都市上京区観音寺門前町820
- 京都市営バス「北野天満宮前」より徒歩約3分
(10,50,51,52,55,101,102,111,203系統) - 京福北野線「北野白梅町駅」より徒歩約5分
厳島神社:唐破風鳥居
最後は京都御苑内にある厳島神社の「唐破風(からはふ)鳥居」!
京都御苑にある九条池の中島にある神社で、御祭神は宗像三女神・祇園女御を祀る。
平安時代、平清盛公が安芸の厳島神社を兵庫築島(兵庫県神戸市)に勧請して創建したのが始まりと伝わる。
その後、この地にあった九条家の邸内に移され祀られていたが、明治維新の際、九条家は東京に移り、厳島神社のみが残された。
厳島神社の社殿前にある鳥居は、ぐにゃっと曲がった笠木と島木が特徴。
ぐにゃっと部分が唐破風の形をしていることから、唐破風鳥居と呼ばれているのです。
唐破風は神社の門などでよく見かける形ですね〜。
ちなみに、唐破風鳥居は元からこの地にあったわけではありません。
- もともとは兵庫築島に建っていた(伝承)
- 室町幕府12代将軍・足利義晴が上洛する際、細川高国邸内へ移築
- 明和8年(1771)、九条道前が幕府に乞うて現在地に移築
唐破風鳥居は上記の流れで現在地にやってきました。
唐破風鳥居も伴氏鳥居同様、国の重要美術品に指定されています。
厳島神社では、月に2度だけ御朱印が頂けます。
御朱印については、京都の御朱印巡りにまとめていますので、参考にしてみてください!
厳島神社へのアクセス
住所:京都市上京区京都御苑
- 京都市営バス「烏丸丸太町」より徒歩約3分
(10,51,65,93,202,204系統) - 京都市営地下鉄烏丸線「丸太町駅」より徒歩約3分
【おまけ】他にもある!京都の珍しい鳥居
京都三珍鳥居に数えられている鳥居を紹介してきましたが、ここからは「『三珍』じゃないけど珍しい鳥居」を4種類紹介いたします!
御金神社:金色の鳥居
1つ目は、金運アップの神社として近年人気を集めている御金神社の鳥居です。
この金色に輝く神明鳥居は、「御金神社」の名にふさわしい鳥居と言えます。
斜めから見ると、金色具合が更によくわかります。
鳥居を触るだけでもご利益がありそうな感じがしてきますね。
錦天満宮:ビルに刺さった鳥居
錦市場で知られる錦通りの東端にある錦天満宮。
神社の前にある鳥居は、なんとビルに刺さっているんです、
笠木の方はがっつりビルの中に入っています。
「ビル建てたいけど、鳥居壊せへんしなぁ」みたいな事情があったのでしょうか。
いかにも京都って感じな鳥居です。
錦天満宮:奴禰鳥居
またまた錦天満宮です。
本殿向かって左にある日之出稲荷社の前には、「奴禰(ぬね)鳥居」という型式の鳥居があります。
笠木と島木の間の額束部分が合掌型になっているのが特徴。
ちなみに、奴禰鳥居伏見稲荷大社・稲荷山の間ノ峯にもあり、日本に2本しかない鳥居の形といわれています。
建立年は日之出稲荷社が昭和2年(1927)、間ノ峰が大正6年(1917)。
間ノ峰の方が10年古く建てられた模様です。
稲荷山:竹の鳥居
伏見稲荷大社・稲荷山の裏参道には、大日本大道教という宗教団体があり、その境内に「竹の鳥居」があります。
有名な千本鳥居を彷彿とさせるようなこの鳥居郡。
この連なった鳥居以外にも、大日本大道教境内には竹の鳥居が複数存在しています。
竹は定期的に変えられている模様。
青々した竹の時もあれば、建てられてから日が立ち、茶色くなった竹の時もあります。
まとめ
以上、京都三珍鳥居と珍しい鳥居の紹介でした!
他にも珍しい鳥居があるかも知れないので、探しながら京都を散策してみたいと思います!
みなさんも「鳥居」に注目して神社巡りをしてみてくださいね!